2016.8.11
台湾の高雄市立大同病院などの研究によると、台湾人の糖尿病患者では、高コレステロール血症の治療薬である「スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」を服用していない患者に比べて、スタチンを服用している患者において、パーキンソン病の発症率が低いことが明らかになり、2016年7月の『Annals of Neurology』オンライン版で公表されました。
この研究は、台湾人の糖尿病患者5万432人を対象にして行われ、このうち約半数がスタチンを服用していました。スタチンの非服用者と比較したパーキンソン病発症率のハザード比は、男性のスタチン服用者が0.60、女性のスタチン使用者が0.65で、糖尿病患者におけるスタチン系薬剤を服用した場合のパーキンソン病の発症予防効果が認められたということです。
同様の疫学調査の結果が、2013年にも発表され、その作用機序については、脂溶性のスタチンが血液脳関門を通過して、脳内で発生している炎症を抑制することで、炎症によって受ける神経細胞のダメージを軽減しているからではないかという過去の報告があります。