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中年期の運動習慣がアルツハイマー病予防に効果

2025.5.11

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中年期に身体活動を増やすことで、アルツハイマー病の発症リスクを軽減し、脳内のベータアミロイドの蓄積を抑える効果があることが明らかになりました。特に、軽度の運動であっても脳の記憶を司る内側側頭葉の皮質を維持する効果が見られ、身体活動が脳の健康に有効であることが示されています。

この研究は、バルセロナ国際保健研究所(ISGlobal)とバルセロナβeta脳研究センター(BBRC)が共同で実施し、「ラ・カイシャ」財団の支援のもと、アルツハイマー病の家族歴を持つカタルーニャ州在住の337人を対象に4年間追跡調査を行いました。身体活動の量に基づいて3群に分類し、質問票と神経画像検査を用いて解析が行われました。

結果として、WHOが推奨する運動量を満たす、または増加させた人々は、運動不足のままの人や運動量を減らした人と比べ、ベータアミロイドの蓄積が少なく、脳の萎縮も抑えられていました。これにより、身体活動が神経変性に直接影響を与える可能性が示唆されました。

この成果は、生活習慣の見直しによってアルツハイマー病の予防だけでなく、早期段階での進行抑制にも役立つ可能性があり、今後の非薬物的治療法として大きな期待が寄せられています。

【出典】 Muge Akinci, Pablo Aguilar‐Domínguez, Eleni Palpatzis, Mahnaz Shekari, Marina García‐Prat, Carme Deulofeu, Karine Fauria, Judith García‐Aymerich, Juan Domingo Gispert, Marc Suárez‐Calvet, Oriol Grau‐Rivera, Gonzalo Sánchez‐Benavides, Eider M. Arenaza‐Urquijo. Physical activity changes during midlife link to brain integrity and amyloid burden. Alzheimer's & Dementia, 2025; 21 (5) DOI: 10.1002/alz.70007