頭痛
前・慶応義塾大学医学部 神経内科教授 鈴木則宏氏
「たかが頭痛」と考える方も多いですが、頭痛は自分、社会、家族にまでダメージを与え、社会的損失が大きい病気です。神経内科で適切に対応すれば生活の質は保たれます。特に最近では生理痛に伴う頭痛も片頭痛である可能性が高いケースが多く、女性患者さんのQOL向上に貢献しています。「頭痛さえなければ、私には違った生活があるのではないか」と思ったら、神経内科を受診してください。
認知症
前・鳥取大学医学部 脳神経内科学分野教授 中島健二氏
かつては治療法がないと言われた認知症も画像、診断マーカーなどで早期に発見でき、治療薬も開発されました。高齢の患者さんは、さまざまな病気を抱えていること が多く、神経内科ではトータルに全身を管理して患者さんとのコミュニケーションを大切にしています
脳卒中
前・東京女子医科大学医学部 神経内科学主任教授
内山真一郎氏
日本人の5人に1人は、一生に一度は脳卒中を発症しますが、脳卒中の4分の3以上は内科的治療が必要な脳梗塞です。脳梗塞や脳梗塞の前兆(一過性脳虚血発作)が 疑われる発作が起こったら直ちに神経内科を受診してください。また、神経内科 では脳卒中を未然に防ぐための脳ドックや脳卒中の再発予防対策にも力を入れています。また脳卒中のリハビリでも筋肉注射で麻痺を治すことができる場合があります。
てんかん
前・国際医療福祉大学福岡保健医療学部教授 辻貞俊氏
てんかんはもっとも頻度が高い神経の病気で、日本には子供から高齢者まで約100万人の患者さんがいます。 てんかんの症状は、全身がけいれんして意識障害を起こす「けいれん発作」だけでなくさまざまで、患者さんの不安やストレスも大きく、神経内科では心のケアも十分に行います。 最近では65歳以上で発症する「高齢者てんかん」が急増しており、患者数は20万人以上と言われます。原因は脳血管障害や認知症、脳腫瘍などが多く、脳波が正常なことがあり診断が難しいのですが、神経内科では最新の知識を得て、万全の態勢を整えています。 最近ではいくつかの発作に対して効果を発揮する有効な薬も開発されており、患者さんの発作や症状に合わせて適切な治療薬を選べば、70〜80%は症状がなくなり、生活の質を損なうことなく、普通の生活を送ることが可能です。
パーキンソン病
京都大学医学部神経内科教授 高橋良輔氏
パーキンソン病は脳の中心部分にある「黒質」という神経細胞が壊れることで、「ドーパミン」という物質が作れなくなり、その影響で運動の指令がうまく出せずに、手足のふるえ、筋肉のこわばり、歩行・言語障害、動作の緩慢・減少を起こす病気。 日本に約15万人の患者さんがいます。 最近ではパーキンソン病に対して、さまざまな方向から治療が可能な薬が開発されています。神経内科では、パーキンソン病治療薬の長所と短所をきちんと理解して、患者さんの病気の進行や症状に合わせて、処方していきます。 これによってパーキンソン病の病状悪化を抑えて、日常生活に支障を起こしにくいようにコントロールすることが可能です。 特に注目されているのが、薬の有効成分を少しずつゆっくりと血液中に放出する「徐放性」という性質を持った薬で、患者さんの血中の有効成分濃度を一定に保つことができ、薬の効き過ぎや、すぐに効果がなくなってしまうようなことを防ぎます。近年は徐放性ドパミンアゴニストが続けて処方可能になり、ウェアリングオフ現象やジスキネジーなどの運動合併症の予防と治療に効果がみられています。 パーキンソン病の患者さんが神経内科を知らないがゆえに、なかなか受診できず、診断がつくまでに時間がかかってしまうこともありますので、ふるえ、歩きにくさ、動作の遅さ、体のこわばり、ろれつが回らない…などの症状が1つでもあれば、神経内科でしっかりと検査・診察を受けて、他の病気の可能性も含めて、パーキンソン病であるかどうかを診断してもらいましょう。